去年の暮れ、児童文学評論家の赤木かん子さんが、「被災地に本を送ろう」とFacebookで呼びかけていました。
 宮城県の東松島市図書館が、市内の仮設住宅の集会所、仮設市民センターの計10カ所に、小さな図書館を開設しており、提供を求めているとのことです。
 「ただし、古本はいりません。新刊か、新古書に限ります。古い百科事典などが大量に届いて、さらに苦労させるようなことがあってはならないと思います」という注釈付きでした。
 何か協力したいと思いつつ、ずるずると1日延ばしにしてきたのですが、東日本大震災1周年に合わせて、先日、ささやかなプレゼントをしました。
 選んだのは、香月日輪さんの「妖怪アパートの幽雅な日常」(講談社)の全10巻。
 途中まで文庫化されていますが、不揃いになってしまうので、大判で統一しました。ジャンルでいえば児童文学だけど、大人もはまってしまうシリーズで、私の周りでも数人がとりこになっています。
大人も夢中になる「妖怪アパートの幽雅な日常」 両親を亡くした主人公・稲葉夕士君が、高校進学とともに入居した古いアパート。
 「賄い付き・光熱費込み25000円」という格安家賃の理由は、大家さん・賄いさんをはじめ、たくさんの妖怪や幽霊たちが住んでいること。人間の住人たちも、除霊師の女子高生や、異能の詩人、画家など個性派ぞろい。夕士君は高校生活の中で迷ったり悩んだりするたびに、住民たちに励まされ、賄いの「るり子さん」(両手だけの幽霊)の絶品料理に元気をもらって、成長していきます。
 霊能者の龍さんの言葉「君の人生は長く、世界は果てしなく広い。肩の力を抜いていこう」は、多くの子どもたちの心に響くことと思います。続けたい贈り物 東松島市は、去年の3月下旬に訪ねました。死者・行方不明者1000人以上。全世帯の73%にあたる1万4500戸が全半壊という大変な被害を受けた街です。
 それでも、災害対策本部は活気があって、市長さんが先頭になって、必要な処置を次々に打ち出している様子が印象的でした。小図書館の運動にも、職員たちの意欲を感じます。
震災直後、市街地が水没した東松島市 義援金も観光支援も大切だけど、被災地の子どもたちを思いながらプレゼントを選ぶって、なかなか楽しいことだと知りました。

コメント

Missing in the field
2012年3月20日6:50

 これからも継続しようかと思って、東松島市図書館に問い合わせてみたら「たくさんの本を全国の皆さんからいただいて、心から感謝しています。収納スペースが限られているため、そろそろ募集は終わりたいと思います」とのことでした。
同様の活動をこれから始める図書館もあるだろうし、子ども支援の情報をとりまとめてくれるNPOがあるといいな、と思いました。

http
://iryou.chunichi.co.jp/medical_column/leaf/20120307142857389

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