Re:石井紘基特集
2012年8月11日
>
本書は出版が決まってから一年半もかかって完成した。それ以前に、国会活
動のかたわら書き綴ってきた時間も合わせると、三年ほどが経過してしまっ
た。この長い日々の間に出くわしたさまざまな出来事は私にとって忘れられな
い。その中で国会の中の些細な話をひとつふたつ紹介しておきたい。
国会議員は、人にもよるが、ウィークデーは会議や委員会、部会、取材の来
客などに追われて、あっという間に過ぎてしまう。土曜、日曜は地元の行事な
どがある。
私もそんな具合だから、原稿書きや書類整理、質問準備の時間は土、日の空
いた時間か、平日の夜しかない。
ところが、議員会館は、土曜、日曜と平日の夜は玄関が閉まってしまう。閉
まっても通用口から出入りはできるし、静かで、書類・資料も置いてあるので
私は常に議員会館に来て仕事をする。
しかし、夜の一一時を過ぎると警備係から再三電話が鳴って「(仕事は)ま
だかかりますか」といってくる。「早く帰ってくれ」との督促だ。つらいのは
真夏と真冬だ。普段でも土曜、日曜、祭日は冷暖房を入れない。休会中は平日
もいっさい入れない。
だから、夏の暑い季節は裸体になって、自分で持ち込んだ除湿器をかけるの
だが、それでも南向きの私の部屋ではうだってしまう。冬は厚着をしてしの
ぐ。じつに仕事がしにくいところなのだ。
もうひとつ、考えられないようなことがある。議員会館で土曜日、日曜日に
しばしば停電があることだ。月に一度か二度は必ず停電する。なかでも、平成
一三年の四月末から五月にかけての連休は一〇日間の長期停電だった。
世の中では今どき停電の話などほとんど開かれない。私は「なぜそんなに電
気工事ばかり多いのか」と文句をいったものだ。
その連休中は、私の小さな部屋にだけ階下から電線を引っ張って仕事ができ
るようにしてくれたが、今どき、日本の国会のように、やるべき仕事に配慮が
なく効率の悪いところもめずらしい。
これも政治がいまだに官依存で、政治本来の仕事がないがしろになっている
のが原因だ。「国会改革」もあれこれ論議されてはいるが、何といっても政治
そのものが、もう少し国民の未来に奉仕する名誉あるものに、生まれ変わるこ
とが先ではないだろうか。
コメント