石油カルテル5

2013年12月22日
石油カルテル5
 プーチンは元KGBの局員で、連邦安全保障局(FSB)の元長官だ。あらゆる発言は頭から信用せず、実際の行動に照らしてみなければならない。こうした埋蔵石油天然ガスの支配や利権をめぐる狂ったような争いを見れば、中東地域全体とカスピ海地域を股にかけたさまざまな紛争やテロ活動が繋ってきて、意味のある全体像が掴めるようになる。作家のマイケル・グリフィンは『悪事の償い」で、アフガニスタンでタリバンが権力を握ったのも、「たった一つの黄金のテーマ」に結びつけることができるとし、それはチェチエン、ナゴルノカラバフ、アブハジア、トルコのクルド人地域でも同じだと言っている。  どれも明確な、計算された行動であり、その時々で決定的に重要なものだった。究極的にどの国がパイプラインの主になるのかを見極めるのである。このパイプラインは今世紀のいつかの時点で、カスピ海盆地からエネルギーに飢えた世界へと石油天然ガスを運ぶことになるだろう。  ■石油合弁企業体ところ変われど顔ぶれは同じ  ◎父ブツシュ、アルアモウディ、ビンマフフーズ、スコウクロフト  石油カルテルは政治家やその仲問とぐるで、権力と利益を最大にするために動いている。その一例がアゼルバイジャン国際操業会社(AIOC)だ。これはアゼルバイジャン公営の石油会社にペンズオイル(ブッシュ家)、ユノカル、エクソン、イギリスのBPアモコとラムコ・ハザール、ルークオイル一ロシア一、ステートオイル一ノルウェー一、トルコ石油一トルコ)、伊藤忠一日本一、デルタ・ニミル・ハザル一サウジアラビア一が共同出資した合弁企業体だ。 注目は、プロジエクトの中心であるペンズオイルである。これは一九六三年に父ジョージ・ブッシュのザパタ石油がペンオイルを買収してできた会社で、カーライル・グループでのブッシュの同僚ジェームズ・ベイカーが率いる法律事務所、ベイカー・アンド・ボッツが法律関係を処理している。後にビジネス.ジャーナリストのトマス・ペッツィンガーが『ウォールストリート・ジャーナル』で、「二五年間というもの、ペンズオイルの社内法律部門はベイカー・アンド・ボッツとほとんど見分けがつかなかった」と述べている。  AIOCでのペンズオイルのパートナー、デルタ・ニミルを動かしているのはおなじみの名前、モハマッド.フセイン・アルアモウディとハリド・ビンマフフーズだ。どちらも「オサマ・ビンラディンの」アルカイダと財政面から繋っている。ビンマフフーズはジョージ・W・ブッシュの石油会社にも、父ジ ョージのカーライル・グループにも出資した。  それ以外にビンマフフーズとアルアモウディ、およびアメリカの主要巨人石油企業のビジネスパートナーとしては、マフフーズ一族のニミル石油(シェヴロンニアキサコと取引があり、一五億バレルの埋蔵量があると言われるカザフスタン油旧の大規模開発を進めている)や、アルアモウディ一族のデルタ石油(アメルダ・ヘスと提携し、アゼルバイジャンの油田開発を進めている)がある。デルタ・ヘスはまた別のコンソーシアムを作っていて、アゼルバイジャンからトルコまで二四億ドルをかけて石油パイプラインを建設しようとしている。  アメリカとサウジが牛耳るAIOCでは、アメリカの元大統領補佐官(国家安全保障担当)で今はキッシンジャー・アソシェーツの重役を務め、父ジョージ・ブッシュともきわめて近いブレント・スコウクロフトが役員を務めている。このコンソーシアムの計画には、カスピ海に臨むバクーからアゼルバイジャンとグルジアを横切って地中海に面したトルコの港ジェイハンまで、総延長一六〇〇キロにおよぶパイプラインの建設が含まれていて、その費用は三〇億ドルと見積もられている。  トルコなどがクルド人居住地域を攻撃し、またトルコ軍が大規模に展開しているのも、石油がその主な理由だ(もちろん麻薬もある)。トルコはすでにクルド人数千人を殺害し、数千もの村々を破壊して、数百万もの難民を生み出している。《九・一一》の恐怖は、英米が軍を派遣するための口実を与えた。  カスピ海石油とパイプライン計画の支配権を確保する上で必要欠くべからざる地域に軍を派遣でき、しかも「国防」費や「安全保障」費を一気に増額できるからだ。本章の執筆中、ブッシュ大統領は国防予算を四八○億ドル増額して三七九〇億ドルにすることを発表し、アメリカ国民の安全を守るためならいくらでも使うと発言した。 一ドルの金もない、貧しく飢えた者のことはどう考えているのだろう。国防予算の大増額は、アメリカ人を守ることとは何の関係もない。すべてはブッシュ白身の利益を守るため、彼らに金を出して操っている連中の利益を守るため、そして自らが奉仕する地球規模での超長期的人類奴隷化計画を推進するためのものだ。

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