植物繊維をナノレベルまで微細化することで得られる枯渇の懸念のない植物由来の繊維。それがセルロース・ナノファイバー(CNF)だ
 密度は鉄鋼の1/5。それでいて強度が同5倍以上という軽くて強い繊維だ。しかも、熱による寸法変化もガラスの約1/50と小さい。これを樹脂に添加することで、軽量・高強度で熱による寸法変化の小さな複合材料(CNF強化樹脂)を実現できると期待されている。
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によると、このCNFを樹脂に均一に分散させることで、樹脂の強度を3〜4倍に高め、かつ熱による寸法変化を2割程度に抑えることが可能。自動車の車体重量のうちの約9%(約110kg)を占めるとされる樹脂部材をCNF強化樹脂で置き換えれば、約20kgの軽量化を実現できるという。
 そして、そうしたCNF強化樹脂のサンプル出荷を2014年春に本格的に開始しようという企業が現れてきた。製紙用薬品とインキ・記録材料用樹脂を手掛ける化学品メーカーの星光PMCである。
 同社は、これまでも実験室レベルで造ったCNF強化樹脂をサンプル出荷してきた。しかし、その量はごく限られていた。同社は、2014年春までに同社の竜ヶ崎工場にCNF強化樹脂を造るパイロットプラントを建設、1社当たり最大で数百kgまでのサンプル出荷を開始する考えだ。
 同社は、NEDOが推進した「グリーン・サステイナブルケミカルプロセス基盤技術開発」プロジェクト(2010〜2012年度)に参画。京都大学、京都市産業技術研究所、王子製紙、三菱化学、DICなどとともに、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)といった樹脂中にCNFを均一に分散させる技術の研究を進めてきた。
 パイロットプラントで造るCNF強化樹脂は、その技術を利用したもの。サンプル出荷の状況にもよるが、同社はさらに、2016年にCNF強化樹脂の商用プラントを整備し、2017年にはその本格的な供給を開始することを目指す。
 同プロジェクトでは、自動車用の樹脂の代替を念頭にCNF強化樹脂の研究開発を実施したが、その想定用途は、自動車だけでなく家電/建設/包装などさまざまな分野にわたる。星光PMCは、そうした分野に向けて用途を開拓していきたいとしている。

これが日本の本気。重い鉄板の自動車が軽くなり燃費も良くなる。飛行機、船舶など利用法は多様性無限です。

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