通電性テザーでスペースデブリを大気圏で燃やすプロジェクト
2014年8月18日導電性テザー(EDT)
デブリが多数ある混雑した軌道(800kmから1400km)から軌道を降下させるには大きなエネルギーが必要で、従来型の推進系では必要な燃料の量が多すぎで実現困難です。そのため、高効率の推進系として、導電性テザー(Electrodynamic Tether, EDT)について研究しています。
テザーとは「ひも」のことです。宇宙機から伸展された導電性のテザーには、地磁場を横切って地球の周りを周回することにより誘導起電力が生じます。そこで、テザーの両端で地球周りのプラズマと電子をやり取りさえさせてやれば、回路が構成されテザーに電流が流れます。テザーに電流が流れると、地磁場との干渉でテザーにローレンツ力が発生します。(図1)
図1
導電性テザー(EDT)の原理:誘導起電力を利用して電流を流し、その電流と地磁場との干渉図1
導電性テザー(EDT)の原理:誘導起電力を利用して電流を流し、その電流と地磁場との干渉で発生するローレンツ力で高度を下げることができます。逆向きに電流を流せば、高度を上げることもできます。
このローレンツ力は速度方向と逆向きであり、宇宙機を減速させることが可能です。また逆に、搭載電源系を用いて誘導起電力に打ち勝って逆向きに電流を流せば、そのときのローレンツ力はシステムを加速させる向きであり、軌道高度を上昇させることができます。このようにEDTは、燃料や大きな電力を使うことなく軌道変換が可能です。また推力が小さいので、デブリに取り付けるのが従来型の推進系に比べると比較的容易というのもメリットです。推力が小さいのでゆっくりデブリの高度を下げていくことになりますが、除去しなくてはいけないデブリを数〜10kmのEDTで一年以内程度で再突入させることが可能と考えられています。
これまで、詳細数値シミュレーションによる導電性テザーによる軌道変換能力の評価や、プラズマコンタクタなどの要素機器の研究開発を行ってきました。
デブリが多数ある混雑した軌道(800kmから1400km)から軌道を降下させるには大きなエネルギーが必要で、従来型の推進系では必要な燃料の量が多すぎで実現困難です。そのため、高効率の推進系として、導電性テザー(Electrodynamic Tether, EDT)について研究しています。
テザーとは「ひも」のことです。宇宙機から伸展された導電性のテザーには、地磁場を横切って地球の周りを周回することにより誘導起電力が生じます。そこで、テザーの両端で地球周りのプラズマと電子をやり取りさえさせてやれば、回路が構成されテザーに電流が流れます。テザーに電流が流れると、地磁場との干渉でテザーにローレンツ力が発生します。(図1)
図1
導電性テザー(EDT)の原理:誘導起電力を利用して電流を流し、その電流と地磁場との干渉図1
導電性テザー(EDT)の原理:誘導起電力を利用して電流を流し、その電流と地磁場との干渉で発生するローレンツ力で高度を下げることができます。逆向きに電流を流せば、高度を上げることもできます。
このローレンツ力は速度方向と逆向きであり、宇宙機を減速させることが可能です。また逆に、搭載電源系を用いて誘導起電力に打ち勝って逆向きに電流を流せば、そのときのローレンツ力はシステムを加速させる向きであり、軌道高度を上昇させることができます。このようにEDTは、燃料や大きな電力を使うことなく軌道変換が可能です。また推力が小さいので、デブリに取り付けるのが従来型の推進系に比べると比較的容易というのもメリットです。推力が小さいのでゆっくりデブリの高度を下げていくことになりますが、除去しなくてはいけないデブリを数〜10kmのEDTで一年以内程度で再突入させることが可能と考えられています。
これまで、詳細数値シミュレーションによる導電性テザーによる軌道変換能力の評価や、プラズマコンタクタなどの要素機器の研究開発を行ってきました。
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